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施工に関する情報
ウレタン塗膜防水の接着試験
接着試験の必要性
新築の防水工事にいて下地は,コンクリートやモルタル等を用いて平滑に整えられています。改修工事では既存の防水層や保護層には多くの種類があり,表面も様々な材質や塗料等で仕上げられています。 更に,経年による劣化の進行や補修工事,部分改修工事の実施等で建物の防水の部位ごとに表面状態が異なる等複雑な状況になる。 一般的に既存防水層がウレタン塗膜防水の場合,専用のプライマーを用いれば重ね塗りが可能です。 またウレタン塗膜防水材はその優れた特性から異種防水材や,その上の表面塗装材,外壁塗料等へ直接施工されることが増えています。 プライマーは下地や用途別に様々な種類が用意されていますが, 不適切なプライマーを使用すると十分な接着力が得られず,剥離やふくれ等を起こしてしまうことがあります。 従って,既存下地の種類や劣化状況によっては,事前にプライマーの接着確認を行うことが必要です。 その試験方法としてはクロスカット法(JIS K 5600-5-6),またはピーリング試験法があります。また,既存防水層が下地に対して十分な接着力を保持しているかも重要なポイントなので, 必要により既存防水層の接着試験[建研式接着試験]を実施します。
絶縁工法のひとつ通気緩衝シートを下地に接着させずにアンカーで固定し,その上に防水材を施工する機械的固定工法があります。 この工法は下地処理を軽減できることから,工期短縮と工事費用削減が可能な工法として注目されてきました 。採用する場合には,アンカーが固定される下地までの距離,耐風圧等を考慮したアンカーの適切な長さや太さ, ピッチ(間隔)等を検討します。 打ちつけたアンカーで十分な強度が得られるかが最も重要なポイントとなるため,必要に応じてアンカーの引抜き試験を行います。
各種接着試験
(1)プライマーの接着力確認試験
- クロスカット法 JIS K 5600-5-6
- ピーリングによる接着試験
(2)既存防水層の接着試験
- 建研式引張試験
(3)アンカー引抜き試験
建研式引張り試験中
アンカー引抜き試験中